住まいの改修を検討する際、「リフォーム」と「リノベーション」という言葉を耳にしますが、その違いを正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。実は国で定められた明確な定義はなく、業界団体や事業者がそれぞれの解釈で使い分けているのが現状です。しかし、工事の目的や規模には明確な違いがあり、どちらを選ぶかによって費用や工期、得られる効果が大きく異なります。本記事では、専門家の視点から両者の違いを詳しく解説し、最適な選択をするための判断基準をお伝えいたします。
 

 
今津建築は、岐阜県大垣市に事務所を構え、西濃地域を中心に木造・鉄骨・鉄筋コンクリート造の大工工事全般を手がけております。平成16年の創業以来、新築工事から増改築、リフォーム工事まで幅広く対応し、15年以上の実務経験を積んでまいりました。本記事では、大工職人として培ってきた専門知識をもとに、リフォームとリノベーションの違いと選択基準について詳しく解説いたします。
 

リフォームとリノベーションの基本的な定義

リフォームとリノベーションには、法律で定められた明確な定義は存在しません。しかし、業界団体や国土交通省のガイドラインでは、それぞれの目的と工事内容に基づいて使い分けがなされています。両者の違いを理解することが、最適な住まいづくりの第一歩となります。
 

■リフォームとは原状回復を目的とした改修

リフォームは、一般社団法人リノベーション協議会によって「原状回復のための修繕・営繕、不具合箇所への部分的な対処」と定義されています。国土交通省のガイドラインでは「新築時の目論見に近づくように復元する修繕」とされており、老朽化した建物を新築当時の状態に戻すことを主な目的としています。
 
具体的には、経年劣化により色あせた壁紙の貼り替え、古くなったキッチンやユニットバスの入れ替え、床材の張り替え、外壁の塗り直しなどが該当します。これらは建物の機能を回復させる工事であり、マイナスの状態をゼロに戻すという表現がよく使われます。賃貸住宅における退去時の原状回復工事もリフォームの範疇に含まれます。
 

■リノベーションとは性能向上を目的とした改修

リノベーションは、一般社団法人リノベーション協議会によって「機能、価値の再生のための改修。その家での暮らし全体に対処した包括的な改修」と定義されています。国土交通省のガイドラインでは「新築時の目論見とは違う次元に改修する改善」とされており、建物に新たな機能や価値を付加することを目的としています。
 
リノベーションでは、間取りの変更、耐震補強、断熱性能の向上、配管や配線の全面刷新など、建物の骨組み(スケルトン)から手を加える大規模な工事が行われます。中古住宅を現代のライフスタイルに合わせて蘇らせることがリノベーションの本質であり、ゼロの状態からプラスの価値を創造する工事といえます。

和製英語としてのリフォーム
日本で使われている「リフォーム」は和製英語であり、英語圏では建築物の改修を指す際には「リノベーション(renovation)」という単語が一般的です。英語の「reform」は「改善する」という意味で、住宅改修とは直接関係がありません。日本でリノベーションという言葉が使われるようになったのは、より正確な意味を伝えるためという経緯があります。

 

費用・工期・工事内容の違い

リフォームとリノベーションでは、費用規模、工事期間、施工内容が大きく異なります。国土交通省の統計データや業界調査に基づき、具体的な数値を見ていきましょう。
 

■費用相場の比較

国土交通省が発表した令和5年度住宅市場動向調査によると、リフォームの平均費用は137万円です。一方、同調査におけるリノベーションを含む大規模改修の費用は、物件購入も含めた20~40代の平均で662.6万円となっており、明確な差があります。

項目
リフォーム
リノベーション
平均費用
137万円
400~800万円
費用幅
10万~600万円程度
300万~1,500万円程度
工事単価目安
部位別で数万~数十万円
1平米あたり10~15万円

参照:国土交通省 令和5年度住宅市場動向調査
 
矢野経済研究所の調査によると、2024年の住宅リフォーム市場規模は7兆3,470億円です。内訳を見ると、部分的な修繕や設備交換を中心とするリフォームが市場の大部分を占めています。一方、若年層を中心としたリノベーション需要は急拡大しており、2020年から2024年にかけて20~40代のリフォーム費用は42.5%増加しています。
 
西濃地域においても、大垣市・海津市・養老町などでリノベーション需要が高まっています。中古住宅を購入してリノベーションを行うケースや、親から受け継いだ住宅を現代的な住まいに作り変えるケースが増加傾向にあります。岐阜県は比較的地価が安定しているため、建物への投資を手厚くできる利点があります。
 

■工事範囲と工期の違い

リフォームは部分的・表層的な工事が中心であるため、工期は1~2週間程度で完了することが多く、住みながらの工事も可能です。例えば、トイレの交換であれば1~2日、キッチンの入れ替えであれば3~5日程度が標準的な工期となります。仮住まいの用意が不要なため、生活への影響を最小限に抑えられます。

工事内容
リフォーム工期
リノベーション工期
水回り単体交換
1~5日
内装貼替え
3~10日
部分的改修
1~2週間
全面改修・スケルトン
2~4ヶ月
間取り変更含む
3~5ヶ月

参照:一般社団法人リノベーション協議会
 
リノベーションでは、スケルトン状態(骨組みだけの状態)まで解体してから、間取り変更・配管交換・断熱材施工・内装工事を行うため、マンションで約3~4ヶ月、戸建てでは4~6ヶ月程度の工期を要します。工事期間中は仮住まいが必要となるケースが多く、引越し費用や家賃も考慮する必要があります。
 

 

どちらを選ぶべきか判断基準5選


リフォームとリノベーションのどちらを選ぶかは、予算・目的・住まいの状態・ライフスタイルによって異なります。ここでは、実務経験に基づいた5つの判断基準を提示いたします。
 
判断基準1:予算と費用対効果
予算が200万円以下の場合は、リフォームが適しています。水回り設備の交換、壁紙・床材の貼替え、外壁塗装などの部分的改修で、住環境を大きく改善できます。一方、300万円以上の予算を確保できる場合は、リノベーションも選択肢となります。間取り変更や性能向上を伴う工事により、資産価値の向上が期待できます。
 
矢野経済研究所の調査では、若年層のリノベーション費用が急増しており、新築購入との比較で20~30%のコスト削減効果が報告されています。岐阜県大垣市周辺では、新築住宅が2,500万~3,500万円程度であるのに対し、中古住宅購入とリノベーションで2,000万~2,800万円程度に抑えられるケースが多く見られます。
 
判断基準2:住まいの築年数と劣化状況
築10~20年程度の住宅で、構造躯体に大きな問題がなければリフォームで十分な場合が多いです。設備の更新や内装の刷新により、快適性を回復できます。一方、築30年以上の住宅や、配管・配線の老朽化が進んでいる場合は、リノベーションを検討すべきです。表面的な改修だけでは、数年後に再度工事が必要になる可能性があります。
 
西濃地域の古民家では、伝統的な木造軸組構法が用いられているケースが多く、骨組みを活かしながら現代的な性能に引き上げるリノベーションが適しています。耐震補強・断熱改修・水回り移動を伴う全面改修により、築100年の建物でも快適に住み続けることが可能です。
 
判断基準3:間取り変更の必要性
既存の間取りに大きな不満がなく、設備や内装の老朽化のみが問題であればリフォームが適切です。壁の位置を変えずに、各部屋を刷新することで費用を抑えられます。一方、家族構成の変化やライフスタイルの変化により、間取りの見直しが必要な場合はリノベーションを選ぶべきです。
 
例えば、子どもが独立して個室が不要になったケース、在宅勤務用のワークスペースが必要になったケース、二世帯同居のために住空間を分ける必要が生じたケースなどでは、壁の撤去や新設を伴うリノベーションが効果的です。大垣市周辺では、広いLDKを確保するために和室と居間を一体化する工事が人気です。
 
判断基準4:住宅性能向上の必要性
断熱性能・耐震性能・省エネ性能の向上を求める場合は、リノベーションが必須となります。2025年4月から原則すべての新築・増改築で省エネ基準への適合が義務化されており、既存住宅でも性能向上への関心が高まっています。
 
国土交通省の調査によると、20~40代のリフォーム実施者の約3割が「耐震や省エネなどの性能向上」を目的としています。岐阜県西濃地域は冬季の冷え込みが厳しいため、断熱改修による光熱費削減効果が大きく、投資回収期間も比較的短期間です。窓の交換、外壁への断熱材追加、床下断熱の施工により、年間の暖房費を30~50%削減できるケースもあります。
 
判断基準5:工事期間中の生活への影響
住みながら工事を進めたい場合、または短期間で完了させたい場合は、リフォームが適しています。部分的な工事であれば生活への影響を最小限に抑えられます。一方、仮住まいの確保が可能で、じっくりと理想の住まいを作り上げたい場合は、リノベーションを選択できます。
 
リノベーションでは工事期間が数ヶ月に及ぶため、仮住まい費用として月10万~20万円程度が追加で必要となります。引越し費用も往復で20万~40万円程度かかりますが、完成後は新築同等の住環境が手に入ります。大垣市周辺では、工事期間中に親族宅に身を寄せるケースや、短期賃貸マンションを利用するケースが多く見られます。
 
リフォームとリノベーションは、目的も規模も大きく異なる住宅改修の選択肢です。リフォームは原状回復を目的とし、平均137万円、工期1~2週間程度で部分的な改修を行います。一方リノベーションは性能向上を目的とし、平均400万~800万円、工期2~4ヶ月で全面的な改修を行います。
 
選択にあたっては、予算・築年数・間取り変更の必要性・性能向上の必要性・工事期間中の生活への影響という5つの判断基準を総合的に検討することが重要です。今津建築では、大工職人としての15年以上の経験を活かし、お客様のご要望に応じた最適な提案を行っております。木造・鉄骨・鉄筋コンクリート造のあらゆる建築物に対応し、岐阜県西濃地域の特性を熟知した確かな施工をお約束いたします。
 


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